好きだなんて、【完】
「なんで俺に言わないわけ?」
怒ってる…
「…別にこれと言って怪我したわけじゃないし」
「俺の方が兄貴より近くにいて頼りやすいのに、なんで俺はなんにも知らないの?」
深いため息と、眉間による皺
…いつもにこにこしてる風季がこんなに怒るなんて。
「そんなつもりじゃ…凪くんに知られたのもたまたまで」
「で、イヤリング探した兄貴がそのせいで風邪引いたって?」
「う、うん…」
「しずくってさ、兄貴のこと好きなの?」
突き刺すような視線、
低くて強い言葉
「みんな高校になってピアス開けてるのに、頑なにずっとそのイヤリングしてるのも兄貴のこと好きだから?」
図星すぎて何も言えなくて、ぎゅっと唇を噛み締めた。
…好きなんて、言えない。
「…ごめん。なんでもない。ちょっと言いすぎた。」