好きだなんて、【完】

「なっ、なにそれ…!わ、私トイレ!」




そう言ってわけもわからないまま、教室を飛び出した。



びっくりした、風季があんなこというから



動揺して、何ドキドキしてんの私っ



ただ顔の火照りをかき消すために、廊下を走った。



ーーーーキンコンカーン…



「あ、」



それはもちろん授業の始まりを知らせるチャイム



…忘れてた



急いで教室に戻ろうと、Uターンして廊下を走ろうとした時、



「っすみませ、」



何かに抱き止められる感覚



本能的に早くなる鼓動と、この香り




「あぶねえ」



スタッフさんに囲まれて、不機嫌そうな凪くんの姿



「な、凪くん…!」



学校に凪くんがいる光景が不自然すぎる


抱き止めた私をそっと離して




「なんでそんな顔真っ赤なわけ」




見透かすような視線



「これは…」



言い訳を探すけど、誤魔化したってバレそうで、



ここ数分の出来事に情報量が多くて、正常に頭が働かない
< 75 / 161 >

この作品をシェア

pagetop