好きだなんて、【完】

「う、わ」




「びっくりしたぁ!」




「ふ、風季っ、」



ジャージ姿で顔を出したのは風季だった。




「どうした?俺によう?」




「あ、いや、…えっと、凪くんが勉強教えてくれるって言うから、来たの。」




「は…どういう風の吹き回し?」



眉間に深く刻まれて行くしわ。


そりゃそうなるよね。不思議だもん。



「わ、わからない。あ!風季も一緒に教えてもらう?」




「…いや、これから部活」




「そ、そっか残念」



凪くんと2人だと緊張して内容が入ってこなさそうだったから、風季もいてくれた方がいいと思ったんだけどなぁ…



この間の看病とは訳が違うよ



「じゃあな。」




「うん。」


どこか伏せ目がちに去っていった風季



開きっぱなしになった霧沢家の玄関に踏み込む。

< 81 / 161 >

この作品をシェア

pagetop