好きだなんて、【完】
「う、わ」
「びっくりしたぁ!」
「ふ、風季っ、」
ジャージ姿で顔を出したのは風季だった。
「どうした?俺によう?」
「あ、いや、…えっと、凪くんが勉強教えてくれるって言うから、来たの。」
「は…どういう風の吹き回し?」
眉間に深く刻まれて行くしわ。
そりゃそうなるよね。不思議だもん。
「わ、わからない。あ!風季も一緒に教えてもらう?」
「…いや、これから部活」
「そ、そっか残念」
凪くんと2人だと緊張して内容が入ってこなさそうだったから、風季もいてくれた方がいいと思ったんだけどなぁ…
この間の看病とは訳が違うよ
「じゃあな。」
「うん。」
どこか伏せ目がちに去っていった風季
開きっぱなしになった霧沢家の玄関に踏み込む。