好きだなんて、【完】
「ごめん」
「…始めるぞ」
ため息混じりの声に胸が痛くなる。
やっぱり教えてくれない、とかにならなくてよかった
招かれた数週間ぶりの凪くんの部屋
ネイビーのカーペットの上に置かれている木目調のテーブルの上には、準備してくれたのかマグカップが二つ
一つは凪くんの好きなコーラ、もう一つはきっと私ので中身は多分カルピス
「カルピス用意してくれたの?」
「別に」
「私が一番好きな飲み物だって覚えててくれたんだね」
「…たまたま冷蔵庫にあっただけ。勘違いすんな。」
うん、わかってるよ。
それでも嬉しいんだよ。
並んでる二つのマグカップが、私も凪くんのものっていうだけで嬉しい。
私がくる時間に合わせて、起きていてくれたのも、飲み物を用意してくれたのも胸がぽかぽかする。