好きだなんて、【完】

「ん、合ってる」



「よかった…」



凪くんに意識がいってしまわないように、今世紀最大の集中力を発揮して、なんとかテスト範囲の後半まで理解することができた。



「次、証明」




「しょ、証明…」




ただでさえ苦手な数学の中で一番嫌いな証明



授業で聞いてても意味がわからなかった。




「お前まだ苦手なんだ」





「え、覚えててくれたの?」





「…今思い出しただけ」





そう言って、少し恥ずかしそうに顔を背ける凪くんに一瞬で身体が熱くなる。



3年前、中学2年生の時に芸能界に入る前の凪くんが最後に教えてくれたのも証明だったような気がする。



私は凪くんとのこと、全部ちゃんと覚えてるよ。




「ねぇ、凪くん休憩しない…?」




さっきからずっとぶっ通しだし、そろそろ糖分不足かも。
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