好きだなんて、【完】

「ふっ、そうだったな。あの頃は楽しかったな。」




胸がどくんと大きな音を立てた。




だって、




凪くんが笑ってる。





「…何」



笑顔は数秒保たれて、あまりにも私が黙って凪くんを見つめるからすぐ真顔に戻ってしまった。



「凪くんが笑ってくれたから…」




「っ、見るんじゃねえよ」




「嬉しいっ…」




私に笑顔を見せてくれることなんてもう無いと思っていた。



もうメディアを通してしか見れてないと思っていた凪くんの笑顔の破壊力はすごい。



胸がうるさい。




「…意味わかんねぇこと言うな。」




口元に手をあてて、そっぽを向いてしまった凪くん。



もっと、見たかったのに。




ねえ凪くん。




数年ぶりに入った部屋はガラッと変わっていたのに、あの写真をずっと飾っていたのはやっぱりお姉ちゃんが映ってる写真だから?



"あの頃は楽しかったな"って、今は楽しく無いの?
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