好きだなんて、【完】
起こさずにそっとしてあげるのも私じゃなくても、一緒だよね。
お姉ちゃんといるときの凪くんは穏やかな表情をしていて、いつもずるいって思ってしまう。
そりゃ、好きな人に見せる顔は特別だよね…
「…それより、テスト結果どうだったんだよ。」
でも前まで私を見た瞬間に険しい顔になっていたのに、今はその穏やかさを残した表情で話してくれることが涙が出そうなくらい嬉しい。
…テストの返却日覚えててくれてるのもどれだけ嬉しいかっ。
「それがねっ…見てっ!」
バカで単純な私はそんなことですぐ機嫌が戻ってしまう。
すぐカバンから取り出せるようにしていた数学の答案用紙を凪くんに見せた。
「へー、すげぇじゃん。」
笑ってくれたわけじゃないけど、口角が少し上がったその顔にときめきが隠せなくなる。
「っ、」
凪くんはずるいよ。
もっとって、こんなの欲張りになっちゃうじゃん。