リアルに恋していいですか 〜10年ぶりに再会した超国民的スターに執着されています〜
○帰り道(夜)
酔っ払った菜穂子が、千晶に支えられながら歩く。
千晶「しっかりしろ。あのちょっとでタクシーだから」
菜穂子「うっ、吐きそ……」
千晶「ほら、袋これ使え」
菜穂子「ありが……うえええぇ」
菜穂子は千晶に背中を擦られながら嘔吐。
千晶「酒弱いなら無理するなよ。てか二杯飲んだだけでここまでって……」
菜穂子「うるさい、触らないで。条件その1を忘れたの!? うう……おえ」
千晶「あーはいはい。あとでいくらでも怒ってくれていいから」
袋を処分したあと、タクシーに乗ろうとする菜穂子。しかしそれは、タクシーの扉ではなく、電柱だった。
千晶「菜穂子、それタクシーじゃなくて電柱だから。送ってくよ」
菜穂子「お構いなく。ひとりで帰れるから」
千晶「はぁ、強情すぎ。言うことを聞けこの酔っ払い」
菜穂子「きゃ!?」
菜穂子はお姫様抱っこされる。千晶の顔が間近で見れて、どきどきする。
菜穂子「ばか、下ろしなさいよ!」
千晶「その千鳥足で歩かれても俺が迷惑だから。大人しくしてて」
菜穂子「私、重いし……」
千晶「ふ。羽みたいに軽いよ」
菜穂子「……何よ、それ」
菜穂子はそっと彼に身を任せる。
千晶は大人しくなった菜穂子を軽々と抱えたまま、タクシーに乗せた。
○タクシー車内(夜)
菜穂子モノローグ【結局】
菜穂子モノローグ【また送ってもらうことになってしまった】
菜穂子(まだ気持ち悪い……)
菜穂子「本当にごめん、ちょっと休ませて」
千晶「うん。いいよ」
菜穂子は酔いで体調が悪く、千晶の膝を借りてすぐに意識を手放す。
菜穂子の寝顔を上から眺めながら、顔にかかった長い髪を避けてやる千晶。
千晶「――隙、ありすぎじゃない?」
千晶(……条件その1、自分も破ってるし)
千晶(この状況……俺じゃなかったら、どっかに連れ込まれてもおかしくないし。危機感なさすぎ)
無防備に寝息を立てる菜穂子に囁く。
千晶「……ごめん。俺は友達に戻る気なんてないよ」
千晶「落ちるまで口説くから。菜穂子」