リアルに恋していいですか 〜10年ぶりに再会した超国民的スターに執着されています〜


 比高慶介:美奈の従兄弟。29歳。カフェを経営し、カメラマンもしている。黒髪で柔らかい雰囲気。

 美奈「慶くん!」
 慶介「来てくれたんだ。昼休憩?」
 美奈「そうだよ〜」

 仲が良さそうなふたりの様子を見て、首を傾げる菜穂子。

 菜穂子「その人、知り合い?」
 美奈「あれ? 菜穂子に紹介したことなかったっけ。従兄弟の比高慶介くん。このカフェを経営してて、カメラマンもしてるの。雑誌の撮影でうちも何回か依頼させてもらってる」

 慶介は菜穂子の方をひと目見て、目を見開き固まった。視線がかち合うふたり。慶介は菜穂子に見蕩れているのだが、菜穂子に自覚はない。

 菜穂子(このカフェ、しょっちゅう来てたけど美奈の親戚が経営してたのは知らなかった)

 菜穂子は小さく頭を下げて挨拶をする。

 菜穂子「はじめまして。美奈さんの同僚の西野菜穂子です」
 慶介「は、はじめまして。西野さんのことはいつも、美奈ちゃんから聞いてます」
 菜穂子「このカフェ、休みの日とかも仕事をしに来るんです。このフルーツタルトがすごく美味しくて」
 慶介「ああこれ、僕が考案したんです。カンタンなので自宅で誰でも作れますよ」
 菜穂子「ええ、本当ですか? 私結構不器用なんですけど……」
 慶介「よかったらレシピ、教えるよ」

 そう言って慶介はスマホを取り出す。

 菜穂子(私が作ったら千晶、食べるかな……)

 千晶のことを考えながら何気なくスマホを取り出し、連絡先を交換する。
 菜穂子を前にしてどこかたどたどしい様子の慶介を見て、美奈が面白そうに口角を上げていた。

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