リアルに恋していいですか 〜10年ぶりに再会した超国民的スターに執着されています〜
第五章
○カフェのホール(午後)
菜穂子「どうして千晶がここにいるのよ」
千晶「それはこっちのセリフなんだけど」
菜穂子「私の職場がこの近くで、店主の比高さんが同僚の従兄弟なの」
千晶「俺はこの店の――常連だから」
ふたりのやり取りを見て、目を瞬かせる慶介。
慶介「なになに、ふたり知り合い?」
千晶「知り合いっつーか、元――んぐ」
菜穂子「幼馴染です!」
『元カノ』と言いかけたのを察し、菜穂子はすかさず千晶の口を後から手で押えて、小声で苦言を呈す。
菜穂子「ちょっと! 何勝手にバラそうとしてるのよ!」
慶介「俺とのことは過去のことなんだろ? だったら別に言ったって平気でしょ」
菜穂子「自分の立場を考えなさいよ自分の立場を! 国民的アイドルの恋愛遍歴なんてすぐに記事になるんだから軽く言うもんじゃないわ。まさか千晶、そこらじゅうでペラペラ喋ったりしてないわよね!?」
千晶「あー……してないしてない」
菜穂子「明らかに嘘ついてる顔するのやめて」
千晶「まむい、もっろらけはまいたかも(※悪い、ちょっとだけ話したことあるかも)」
彼の両頬をつまんで引っ張る。
ふたりが揉めていると、後ろで慶介が言った。
慶介「とりあえず……ふたりが仲良いってことはよく分かったよ。ほら千晶も、ご飯食べに来たんでしょ? 座りな」
千晶「めっちゃお腹空いた」
千晶は菜穂子の席の隣に座る。
慶介は簡単な食事を用意して千晶に出した。
菜穂子「比高さんとどういう関係なの?」
千晶「仕事で何度か一緒になって、そっから仲良くなって、店に来るようになった」
菜穂子「仕事?」
慶介はカウンターの向こうで、シャッターを押すジェスターをする。