【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
04.好感度を上げるのは難しい
ルサレテの怪我は毎日少しずつ回復していき、ようやく歩けるようになった。そこで、怪我をした体を引きずるように、歩いて歩いて、歩きまくった。
このゲームの世界でアイテムを入手し、攻略対象の好感度を高めるためのイベントに参加するには、ポイントが必要となる。そのポイントを貯める方法は――歩くことだ。
(こんなに歩いたのに……たった1ポイント)
部屋のひとりがけの椅子に深く座り、換算された歩数の画面を眺めながら思う。
単純な作業だと思えるかもしれないが、1歩1ポイントではなく、1万歩で1ポイントなので、ポイントを貯めるのは割と大変だ。
雨の日も、風の日もひたすら歩く。歩いて歩いて、歩き続ける。リハビリにしては歩きすぎで、周りの人から変わり者と揶揄されようとも、ゲームをクリアするために躍起になった。
唯一、ペトロニラだけは怪しんでいたが知らん顔をした。どうせ彼女には、貯めているポイントを確認をすることはできないから。
また、婚約者のジェイデンが、頻繁にペトロニラの元に見舞いという体で会いに来るようになった。
彼はルサレテに階段から突き落とされたと信じ込んでおり、怪我をして寝たきりだったルサレテに会って早々、「君を軽蔑するよ」と吐き捨てた。ルサレテを心配する素振りもなく、ペトロニラには毎日のように花や果物を持ってきて、甲斐甲斐しく世話を焼いた。
ジェイデンはペトロニラと話す口実ができたのだから、願ったり叶ったりではないか、と思ったりしている。
(またあのふたり、一緒にいる……)