【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
嘘をついているようには、とても見えなかった。ロアンは、親しいからとペトロニラの言葉を鵜呑みにして、ルサレテのことをろくに知りもしないのに一方的に責めていた。
もしかしたら、ルサレテは本当に潔白なのかもしれない。
何か、ロアンの知らない事情がこのナーウェル姉妹にはあるのかもしれない。そう思って、その場を離れようとしたルサレテの腕を掴んでいた。
「急になんですか? その手を離してください」
「さっき、薬を飲んでくれたらなんでも言うことを聞くって言ったよね?」
「い、言いましたけど……」
「なら、君のことがもっと知りたい。ペトロニラと君の言葉、どちらが真実なのか、俺の目で確かめたいんだ。それにまだ、薬のお礼もしてないし、この前貸してくれたハンカチを返せてない。だからまた、話そう。――ルサレテ」
「!」
そう伝えると、ルサレテが表情に安堵を滲ませた。彼女が初めて見せた柔らかな表情に、心臓が一瞬跳ねた。嫌いなはずな相手なのに、どうして彼女にときめいたりしたのだろうか。
◇◇◇
ロアンに会ってから家に帰ると、エントランスでペトロニラに遭遇した。彼女は近くに、エリオットとサイラスを侍らしている。そして、ルサレテの姿を見て一目散に、サイラスの背中に隠れて顔だけこちらを覗く。
「お、お姉さま……お帰りなさいませ」
「…………」
身体を縮こませて、まるで怯えたようなふりをする彼女。その姿に青年ふたりの庇護欲が掻き立てられているようだったが、ルサレテは呆れた感情しか湧かない。
すると、エリオットが一歩前に出てきて、こちらをきつく睨みつけた。
「この家を出ていかれるとお聞きしていましたが」