【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
08.イベント連続発生中
また別の日。今度は、ルイに関わるイベントが起きた。
学園の廊下で彼が悩ましげに立っているのを見かけた。彼の目の前には教科書が山のように積み重なっている。『イベント発生』の文字が表示された空中ディスプレイを見つつ、話しかけてみる。
「何かお困りですか?」
「仮に困っていたとして、そなたに話す義理はない」
「……ああ、そうですか」
冷たく突っぱねられたルサレテはすぅと目を細める。
まぁ、わざわざ聞かずとも、ディスプレイを見れば悩みの内容は分かる。どうやら、ルイは所属している生徒会の会議があったのに、この教科書をすぐに図書室へ運んでほしいと教師から押し付けられてしまったらしい。
ルサレテは無言で教科書の山を抱える。
「図書室、ですよね」
「どうしてそれを……。それより、何のつもりだ? 僕は別に頼んだ覚えはない」
「はい。私が勝手にやるだけです。ちょうど、本を運びたい気分だったので」
「どんな気分だ」
さっさと教科書を運び始めると、ルイの好感度が+5上がっていた。
「……すまない。助かる」
彼はいそいそと会議へ行ってしまった。
教科書を運ぶだけで好感度が上がるなら、安いものだ。
好感度を上げるために頑張ってはいる。それでも、開始時の好感度が-100なので、好かれるには程遠い。大嫌いが嫌いになったくらいではほぼ意味がないのに。
「頑張ってるネ〜ルサレテ!」
教科書を持って歩いていれば、目の前にぽんっとシャロが現れた。
「頑張ってるけれど、最初の好感度が低すぎて埒が明かないわよ」
「まぁまぁそう言わズ! ボクは興味深い観察をさせてもらってるヨ!」
「他人事でいいわねシャロは。見てるだけじゃなくてたまには手伝ってよ」
嫌味を零して睨めつけると、彼は少しだけ申し訳なさそうに言った。
「じ、じゃあここにキミの推しを呼んでアゲル! 好感度を上げるチャンスだヨ! わ〜いやったネ!」
「えっ、ちょっと待って、何勝手に――」