【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
頼んでもいないことを勝手にするなと阻む前に、シャロは画面の中に消えていった。
その瞬間、教科書の山が崩れそうになり転びかけ、ルサレテの腰が支えられたのと同時に、腕から教科書のおよそ半分の山が取り上げられた。
「ひとりだと大変でしょ。手伝うよ」
さり気なく気遣ってくれたのは、ロアンだった。好感度は-70。まだ割と、かなり、嫌われている。
「どこまで運べば?」
「図書室です」
「遠いね。こんなに沢山、ひとりで運ぶには無理な量だよ。分けて運ぶとか、そういう工夫はできないの?」
キャパを考えろと嫌味を言われる。ついさっきバランスを崩していた身では、ぐうの音も出ない。
「あの……親切にしてくださってありがとうございます」
「教科書を落として傷まないようにと思っただけだよ」
「でも……なんだかんだ言って、優しいですよね。私が転ばないように支えてくださいましたし」
「自惚れないで」
「……すみません」
そのとき、ロアンの好感度が+2上がった。ほんのりと頬も赤く染っていて。
(もしかして、優しいって褒めたから?)
意外と単純なところがあるのかもしれない。教科書を図書室に運んで戻ると、廊下の途中でルイとペトロニラを見つけた。
ルイは生徒会の会議があったはずなのに、どうしてこんなところにいるのだろう。しかも、ペトロニラも一緒に。気になったが、ペトロニラの前で攻略対象である彼に話しかけたらまた機嫌を損ねてしまうので、黙って通り過ぎようとする。
「王太子殿下、今日は生徒会の会議があるのでは?」
しかし、ロアンがルイに疑問を投げかけていた。
「私とお花を見るために休んでくださったんです。ね? 殿下」
にこにこと無邪気な笑顔を浮かべるペトロニラが、ルイの代わりに答えた。
ペトロニラは、ルサレテとルイが話しているのを見つけたあと、ルイに何を話していたのかと問い詰めた。しまいには、ペトロニラのことがどうでもよくなったのかと泣き出し、今も友だちだと思っているならすぐに一緒に庭園の花を見に行こうと駄々を捏ねたとか。その一部始終を、ルイがやんわりと説明する。