【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
「そなたが泣くから、生徒会を休んだんだ。何か深刻な悩みでもあるのかと思えば、私とルサレテ嬢が話していたのが気に入らなかっただけなのだと言う」
呆れたような表情をするルイを見て、ペトロニラはむっと頬を膨らませた。
「だって……お姉様が私の大切なお友達と話すのが、本当に嫌だったんです。お姉様がルイ様に何かひどいことを言ったりしていないか、ただ心配で、申し訳なくて……っ」
彼女はぐすぐすとしおらしく泣き始めた。申し訳ないと言う割に、ルイに迷惑をかけている彼女。ルサレテのことは責めても、自分のことは棚に上げている。そして次は、ロアンの袖をつまんで言う。
「ロアン様はお姉様に無理やり重い荷物を持たされたと伺いました……! 姉がご迷惑をかけてごめんなさい。お姉様はいつもそうなんです。面倒なことは全部私に押しつけて楽をしようとなさるので……」
「迷惑なんて思っていないよ。むしろ自分から手伝ったんだ」
「え……」
ペトロニラは納得していなさそうな顔をした。他方で、ずっと黙っていたルサレテは妹の代わりにルイに詫びた。
「申し訳ございません。生徒会の大事な集まりがあったのに、行けなくなってしまって……」
「むしろ、せっかくそなたが手伝ってくれたのにすまないな」
「いえ。……お構いなく」
するとまた、ペトロニラが割り込んできた。
「お姉様、私が悪いっておっしゃりたいの!? ルイ様は自分から望んで私とお花を見に行ったんです。私に非はありません。お姉様が不審なことばかりするから私が疑心暗鬼になるんです……!」
お姉様が、お姉様が、と駄々をこねる子どものように責め立てるペトロニラ。乙女ゲームのサポートがないと、こんなにわがままで空気が読めない感じの性格になってしまうのだろうか。
しかしペトロニラは、小さなころからずっと乙女ゲーム頼みでこの世界で生きてきたのだと思うとある意味納得できる。
するとルイは、どこか冷めた様子で、ペトロニラに告げた。
「僕はそなたと花を見に行ってよかったと思っている。そなたのことを見直すきっかけになったからな」
「ふふ。もっと私のことがお好きになりましたか?」
「…………」
ルイから読み取れたのは、少しの失望、落胆の色だった。けれど、好感度メーターが見えなくなったペトロニラには、表情の機微から感情を汲み取ることさえできないのだろう。この期に及んで、とんちんかんなことを言っている。
(現実は、乙女ゲームみたいに自分の都合の通りにはいかないのよ。……ペトロニラはもっと、学ぶべきね)
すると、ルイとロアンのルサレテに対する好感度が+5上がっていた。もしも、ペトロニラに対する好感度メーターがあるなら、ルサレテが上がった数値以上に下がっている気がする。