【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
くるくる目の前を回って笑う彼。シャロたち妖精族は、好奇心と探究心が旺盛な種族だ。しかし、ルサレテ的には何も面白くない。
するとシャロは空中で腕を組み、はぁと憂鬱そうにため息を吐いた。
「ため息なんてついてどうしたの?」
「いやぁ、前の被験者は性格悪いし、乱暴でわがままでしんどかったなっテ。思い通りにならないとボクの毛を引っ張ったり、ほっぺをつねるんダ! ホント、ルサレテが引き継いでくれてよかったヨ」
シャロは無作為に元日本人だったペトロニラを検証者に選び、乙女ゲームの世界に転生させたものの、攻略は難航していた。ペトロニラは生まれたときから被験者だったのに、未だに好感度は50前後までしか上げられなかったらしい。
「まぁ。こんなに可愛い子をつねるなんてひどいわね」
そっと目を閉じて、シャロの柔らかな毛を撫でると、彼は気持ちよさそうに目を伏せた。
「ルサレテには感謝してるんダ。ルサレテは優しくて、ボク大好き!」
「ふ。褒めても何も出ないわよ」
片手でシャロの毛をもてあそびながら、もう片手で画面を開く。ゲーム内にはポイント制度があり、歩いた歩数で貯まっていくことになっている。ルサレテは時間があるときに外を歩いて、ポイントを少しずつ貯めていた。
園遊会に行く相手はもちろん、ロアンを選択した。王家主催の園遊会は定期的に行われ、国でも有名なファンファーレ楽団や、美しい踊り子を招き、腕のいいパティシエのお菓子を楽しむ。
煌びやかな社交の場だが、上流階級の家長やその妻に子息、その年の功労者など選ばれた者しか招かれない、貴族たちの憧れの場だった。ロアンは筆頭公爵家の嫡男で、毎回そこに招待されている。
「ロアン様は……どんなドレスが好みかしら」
アイテム欄をスクロールしながらドレスを探す。攻略対象ごとに、彼らの好みのドレスやアクセサリーが分類されている。ルサレテは、ロアン好みのドレスの中で、最もポイントが高く、魅力度が高いドレスをタップした。