【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
叫んだりしたら、ペトロニラをより興奮させるだけではないか。けれど、ルサレテは構わずに3番目の選択肢に指を伸ばしてタップした。すると、体が勝手に動いて、出窓に飾っていたクマのマスコットを腕で窓の外に滑り落とした。
このマスコットは、ロアンに以前、薬のお礼としてもらったものだ。誰かが下の道で拾い、上を見上げてくれたなら、窓の近くで姉妹が揉めていることに気づいて駆けつけてくれるかもしれない。ルサレテはただ願うことしかできなかった。
(お願いっ。誰でもいいから、助けに来て……っ)
無我夢中でペトロニラに抵抗するが、その抵抗も虚しく、気づくとルサレテだけが窓の外に放り出されていて。片手を窓枠に引っかけて何とか体を支える。ペトロニラは上からこちらを睨むように見下ろしていた。
「やっぱりふたりで落ちるのはやめる。だって、プレイヤー権利を取り戻せる保証はないもん。だから、あんただけ落ちて。――お姉様?」
恐怖で喉の奥がひゅっと音を立てる。
ペトロニラのことを絶望的な気持ちで見上げながら悟った。
(選択肢を……間違えたんだわ)
ルサレテは命乞いをするしかなかった。
「お願いよ、ペトロニラ……っ。助けて……!」
「嫌よ。これで邪魔者はいなくなる……。あんたはね、妹を虐げてきた自責の念に耐えられなくなって、自分から飛び降りたことになるの」
「……!?」
そう言って彼女は、ルサレテの指を窓枠から剥がそうとしてきた。もう駄目だ。自分は助からないと覚悟したそのとき――。
「――ルサレテっ!!」