【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
部屋に飛び込んで来たのは――ロアンだった。ペトロニラのことを片手で押し飛ばし、彼女は衝撃で床に倒れ込んだ。そのままルサレテの腕を掴む。
「もう大丈夫だよ。よく持ちこたえたね。あと少しの辛抱だから」
「ロアン、様……」
その声が優しくて、安堵から涙が目に滲んだ。彼は軽々とルサレテの身体を引き上げた。ルサレテは足や体が震えてしまって、その場にへたり込むことしかできなかった。ロアンはその肩を優しく撫でる。
「怪我は?」
「……大丈夫です」
ルサレテは首を横に振った。
(助けに来てくれた……。よかった、ちゃんと気づいてくれたのね)
彼の制服のポケットが膨らんでいて、クマのマスコットの頭が覗いていた。
ロアンはルサレテを庇うように立ち、険しい顔つきでペトロニラのことを見下ろしている。
「これはどういうつもりだ? ペトロニラ」
「ち、違います、誤解です……! これは、正当防衛で……っ。お姉様が、お姉様がまた私のことを突き落とそうとして、それで私、必死に抵抗したんです!」
「そうやってまた罪をルサレテに擦り付けようとしても無駄だよ。今回は僕が現場を見ていたからね」
ロアンは乾いた嘲笑を唇の端に浮かべた。彼はたまたま外を歩いていて、マスコットが落ちてきたので上を見てみたら、ルサレテが落とされそうになっているのを目撃したそうだ。彼は確信を持った口調で告げる。
「やっと分かったよ。嘘つきなのは君の方だったんだね。ずっと妹のように思っていたけど失望した。……非常に残念だよ。ペトロニラ」
「……!? お願い、今回だけは私のことを信じてくださいっ。ロアン様……! お姉様の味方をするなんてひどい……っ」
「そうやって好きなだけ泣けばいいさ」