【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
17.一難去ってまた一難
元婚約者のジェイデンがルサレテの元に訪ねてきたのは、それから数日後のこと。
(ようやく完成した……! これはかなりシャロっぽいのでは!?)
シャロがいなくなってから、記憶に留めておくために彼をイメージしたぬいぐるみを作っていたのだが、それがようやく出来上がった。
ルサレテはあまり器用な方ではないが、よく頑張ったと満足し、不格好なシャロのぬいぐるみを両手で抱えて眺める。
それを、出窓のクマのマスコットの横にちょこんと置いた。クマのマスコットはロアンにもらったものだ。
するとそのとき、ゴーンゴーン……と、始業を告げる鐘が宿舎に響き渡った。
「嘘、もうそんな時間……!?」
慌てて時計を確認する。早起きして夢中になって手芸をしていたら、授業が始まる時間になってしまった。
講堂へ向かおうと、荷物を持って慌てて宿舎を飛び出すと――外でジェイデンが待ち構えていた。
久しぶりに見るジェイデンの姿に、ぴしゃりと硬直するルサレテ。
「ジェイデン様!? ど、どうしてここに……」
「久しぶりだね、ルサレテ。元気だったかい?」
「…………」
彼はこの学園をとっくに卒業しており、今は生徒ではない。学園の宿舎まで許可なく押しかけてくるとは何事かと身構えていると、彼が言った。
「そう警戒しないでくれ。君にどうしても話したいことがあって来たんだよ」
「……私はあなたと話すことは何もありません」
「つれないな。……侯爵夫妻が、君のことをとても心配しているよ。意地を張っていないで、早く家に戻ってはどうだい?」
「なんですって……?」