【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
「私はそんなことしていないわ!」
「またそうやって嘘をつくんですか? お姉様はいつも嘘ばかりですよね。王太子殿下たちと私の仲を引き裂こうとしたり……。私の悪い噂を流して評判を落とそうとしたり……。いつもいつも、私の足を引っ張って来たじゃありませんか」
-10、-20……と好感度メーターの数字がどんどん下降していく。ペトロニラは両手で顔を覆い、更にしおらしく泣き始めた。
彼女は切々と打ち明ける。何でも完璧なペトロニラにルサレテが嫉妬し、いじめていたのだと。ドレスにいたずら書きしたり、物を隠したり壊したり、食事に異物を入れたり、ルサレテの嫌がらせは深刻だったと続けて言う。もちろん何ひとつ、ルサレテの心当たりのないものだ。
ペトロニラが泣き、悲しみ、嘘の告発をしてルサレテを責める度、好感度メーターの数字がみるみる低くなっていく。
(この数字は、何の意味があるっていうの……?)
-30、-40、-50……。低い数字を重ねると、令息四人のこちらを見る顔つきが険しくなる。そして彼らは、ペトロニラの話を鵜呑みにしていた。
「辛かったよな……。ひとりで抱え込んでいたことに気づいてやれなかったなんて……俺は自分が情けない」
サイラスは額に手を当て、悔しそうに呟いた。ルイとエリオットが泣き続けるペトロニラを宥めている。するとロアンが、鋭い青の双眸でこちらを射抜いた。美しい顔に怒りの感情が乗ると、威圧感がある。
「それで。お姉さんはどうしてずっと黙ってるんだい? 妹にどうしてそんなひどい仕打ちをしたのか説明し、謝るべきだろう」
「……! わ、私は……謝らなくてはならないことは何もしていません……! 本当なんです!」
「白々しい人だな。なら、ペトロニラが嘘をついているとでも?」
「…………」
ロアンだけではなく、他の令息たちも皆ペトロニラを好いていて、昔から信頼関係を築いていた。ペトロニラは嘘をつくような人だとは思っていないのだ。よく知らないルサレテの言葉と、どちらを信じるかは考えなくても分かりきっている。
すると、美しい令息たちに囲まれたペトロニラが言った。