【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜


 ルサレテを抱き締める手がわずかに震えていて、緊張が伝わってきて、愛おしさが込み上げてくる。
 彼は腕を解き、ルサレテのことを手放す。ルサレテはくるりと振り返り、彼の顔を見上げた。長いまつ毛が縁取る双眸は切実さを孕んでいる。

「君が辛いときは一緒にその辛さを抱えるし、嬉しいときはともに分かち合いたい。そういう関係を君と築いていきたいんだ」

 ロアンは、前世からの推しだった。病床に伏せっていた毎日の中で、画面の中のロアンは心の拠り所で、励みだった。
 また、同じように病気の辛さを味わい、長くは生きられないという不安を抱えながらも健気に毎日を過ごしていた彼。
 最初は誤解されて嫌われていたけれど、一緒に過ごして好感度が上がっていくにつれて、彼への恋心が膨らんでいった。
 今はただ、この人のそばにいたい。ルサレテはロアンの手に自分の手を重ねて、こくんと頷いた。

「――はい。私でよければ、お願いします……!」
< 72 / 76 >

この作品をシェア

pagetop