【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜
03.初回特典
その日から療養生活が始まった。階段の下に毛の長い絨毯が敷かれており、それが緩衝材になって怪我はひどくなかった。
食べて、寝て、本を読んで、ゆったりと過ごすルサレテ。一方、人気者で交友関係が広いペトロニラにはひっきりなしに誰かが見舞いに来ていた。
そして、ペトロニラはお見舞いに来る人全員に、姉に階段から突き落とされたと吹聴した。
家族も婚約者もペトロニラの話をすっかり信じていて、裁判沙汰にしない代わりにルサレテを家から追い出すという流れになっていた。
「どうしてこんなことに……」
ルサレテは寝台に座り、ため息を吐く。相変わらず、視界には変なものが見えている。好感度メーターに関してはペトロニラの取り巻き令息に対して以外は見えていないが、視界の端に、『アイテム』『ポイント』の文字が浮かんでいる。
これは一体なんだろう。見え始めてから無視し続けていたが、触れそうな気がする。
恐る恐る、手を伸ばした瞬間。ノックもなしにペトロニラが部屋に押し入ってきた。
階段を落としたときの彼女が思い浮かび、心臓が跳ねる。脈動が加速し、手が冷たくなる。
彼女はつかつかとこちらに歩んできて、ぽすっと隣に腰を下ろした。
「これでよーく分かったんじゃない? 私を敵にしたら怖いってこと」
「……どうしてこんなことするの? 私……ペトロニラに何かした?」
ルサレテが質問攻めすれば、彼女は綺麗な顔を歪ませて、こちらを睨めつけた。
「ロアン様に色目を使ったじゃない。それに、言ったでしょ。私から大事なものを奪ったって……」
「奪ったって、どういうことなの? もしかしてこの、空中に浮かんでいる変な文字のことと何か関係あるの……?」
「これ以上悪い思いをしたくなかったら……私の言う通りにして」