青春は、数学に染まる。
休息
どうやって家に帰ったのか、あまり記憶が無い。
家の中に入るなり私は力が抜けて倒れこんでしまった。
「え? 何の音?」
倒れる音にビックリしたお母さんが飛んできた。
「ちょっと真帆!! 足が血まみれじゃない!どうしたのよ!!」
「少し転んだ」
「転んだじゃないわよ! 迎えに行くから連絡すればいいのに…!!」
お母さんは綺麗に血を拭いて消毒液をかけてくれた。染みて鋭い痛みが走る。
しかし、明日…学校行きたくないなぁ。
「ねぇお母さん、明日学校休んでも良い?」
「本当にどうしたの…。体調悪いの? 何かあったの?」
ガーゼを貼りながら心配をしてくれるお母さん。
色んな感情が入り混じって、目に涙が滲む。
「うーん、いや。別に何もないんだけどさ。ただ、休みたくて」
そんな理由、許される訳が無い。そう思ったが、意外にもお母さんは許してくれた。
「分かった。…お母さんは何も言わないわ。好きにしなさい。ただ、何かあったら相談しなさいよ。真帆1人で抱え込む必要なんて無いのだから」
そう言って膝の傷口を叩いた。
「いたっ!!!!」
「……はい、処置終わり。夕食とお風呂をすぐに済ませて、今日は早く休みなさい」
「…ありがとう」
お母さんは深く聞いてこない。それが今の私には救いだった。
有紗に明日休むってことだけ連絡しとこ…。
スマホを開いて有紗にメッセージを送った。
朝日が窓から差し込んでいる。
平日なのに、こんなに外が明るくなるまでベッドに居られるなんて。
学校に行かなくて良いって最高だ。別に学校が嫌いなわけではないけど。
お父さんもお母さんも仕事に行って、今は家に1人。
静かだと余計なことを考えてしまうため、好きな音楽を大音量で流した。
鼻歌を歌いながら、好きな漫画を読む。
こうしていると、昨日までの事が夢のように感じる。
いや…夢だったんだ、きっと。夢だ、夢。
…そう思いたい。
気付いたら時計は12時を指していた。
好きなことをして過ごす時って時間の流れが凄く速い。
「…ん?」
スマホが振動している。着信のバイブレーションだ。
「もしもし?」
『真帆!!! 元気?!?!』
電話の相手は有紗だった。
「おはよう。どうしたの?」
『もうお昼よ! それに!! どうしたのはこっちのセリフ!! 真帆がいない学校は楽しくないよ!!』
「ごめんね、色々あって…」
そう言うと有紗の溜息が電話越しに聞こえてきた。
『……伊東と早川が関係している?』
「え…? な、何で」
『いや、早川先生が私に声を掛けてきたの。真帆はどうかって。伊東先生と早川先生のせいで真帆を傷付けたって言っていたんだ。授業中も暗くて元気なかったし、覇気が無かったね』
「そうだったんだ。有紗…ご迷惑をおかけします」
早川先生、有紗に聞いていたなんて。想像もしていなかった。
「何か、巻き込んだみたいになってごめんね」
『え、謝らないで!!!! 別に迷惑とも巻き込まれたとも思っていないから! ただ、2人とも許せないよ。2人が真帆のこと好きなのはわかったし、応援もしていたけれどさ。やっぱり大事な真帆を苦しめるなんて許せないよ!!!』
声が大きすぎてキーンという音が鳴った。有紗が怒っているということは電話越しでも分かる。
『というか、早川先生が転んだとか言って顔にガーゼ貼っていたんだけど、これは関係ある?』
「あぁ、うーん…」
昨日、伊東が顔を叩いたやつか。
ガーゼを貼るほど、悪化したのかな。
「ん~…そうね、関係あるね…」
『やっぱりそうか!』
恐らく私の中で思い出したくない出来事になっている。
思い出すだけで苦しくなって吐きそうだ。
「けど…有紗、ごめん。思い出すだけで吐きそう。また、話せるようになったら聞いてくれる?」
『はぁ? ちょっと待って。そんな精神的に来るレベルのこと? 益々許せないんだけど』
「はは、有紗は私の為に怒ってくれるから嬉しいよ。本当にありがとう」
『親友だから当たり前じゃない!! 取り敢えず、後で数学科準備室に乗り込んでくるわ』
「え? いや、行かなくて良いよ。大丈夫!」
『大丈夫じゃないから、真帆。こればかりは譲れない。打倒、早川! 打倒、伊東!!』
「え、待って…」
『じゃあまた連絡するね。無理せずに』
「ちょっと有紗!」
有紗は一方的に電話を切った。
「……はぁ…」
スマホをベッドに投げて倒れ込む。
本当、有紗は嵐のようだ。
昼ご飯食べなきゃ…。
そう思ったが、ご飯を食べることすら億劫に感じる。
「寝ようかな…」
目を閉じると睡魔が訪れてくる。私はそのままひと眠りすることにした。
家の中に入るなり私は力が抜けて倒れこんでしまった。
「え? 何の音?」
倒れる音にビックリしたお母さんが飛んできた。
「ちょっと真帆!! 足が血まみれじゃない!どうしたのよ!!」
「少し転んだ」
「転んだじゃないわよ! 迎えに行くから連絡すればいいのに…!!」
お母さんは綺麗に血を拭いて消毒液をかけてくれた。染みて鋭い痛みが走る。
しかし、明日…学校行きたくないなぁ。
「ねぇお母さん、明日学校休んでも良い?」
「本当にどうしたの…。体調悪いの? 何かあったの?」
ガーゼを貼りながら心配をしてくれるお母さん。
色んな感情が入り混じって、目に涙が滲む。
「うーん、いや。別に何もないんだけどさ。ただ、休みたくて」
そんな理由、許される訳が無い。そう思ったが、意外にもお母さんは許してくれた。
「分かった。…お母さんは何も言わないわ。好きにしなさい。ただ、何かあったら相談しなさいよ。真帆1人で抱え込む必要なんて無いのだから」
そう言って膝の傷口を叩いた。
「いたっ!!!!」
「……はい、処置終わり。夕食とお風呂をすぐに済ませて、今日は早く休みなさい」
「…ありがとう」
お母さんは深く聞いてこない。それが今の私には救いだった。
有紗に明日休むってことだけ連絡しとこ…。
スマホを開いて有紗にメッセージを送った。
朝日が窓から差し込んでいる。
平日なのに、こんなに外が明るくなるまでベッドに居られるなんて。
学校に行かなくて良いって最高だ。別に学校が嫌いなわけではないけど。
お父さんもお母さんも仕事に行って、今は家に1人。
静かだと余計なことを考えてしまうため、好きな音楽を大音量で流した。
鼻歌を歌いながら、好きな漫画を読む。
こうしていると、昨日までの事が夢のように感じる。
いや…夢だったんだ、きっと。夢だ、夢。
…そう思いたい。
気付いたら時計は12時を指していた。
好きなことをして過ごす時って時間の流れが凄く速い。
「…ん?」
スマホが振動している。着信のバイブレーションだ。
「もしもし?」
『真帆!!! 元気?!?!』
電話の相手は有紗だった。
「おはよう。どうしたの?」
『もうお昼よ! それに!! どうしたのはこっちのセリフ!! 真帆がいない学校は楽しくないよ!!』
「ごめんね、色々あって…」
そう言うと有紗の溜息が電話越しに聞こえてきた。
『……伊東と早川が関係している?』
「え…? な、何で」
『いや、早川先生が私に声を掛けてきたの。真帆はどうかって。伊東先生と早川先生のせいで真帆を傷付けたって言っていたんだ。授業中も暗くて元気なかったし、覇気が無かったね』
「そうだったんだ。有紗…ご迷惑をおかけします」
早川先生、有紗に聞いていたなんて。想像もしていなかった。
「何か、巻き込んだみたいになってごめんね」
『え、謝らないで!!!! 別に迷惑とも巻き込まれたとも思っていないから! ただ、2人とも許せないよ。2人が真帆のこと好きなのはわかったし、応援もしていたけれどさ。やっぱり大事な真帆を苦しめるなんて許せないよ!!!』
声が大きすぎてキーンという音が鳴った。有紗が怒っているということは電話越しでも分かる。
『というか、早川先生が転んだとか言って顔にガーゼ貼っていたんだけど、これは関係ある?』
「あぁ、うーん…」
昨日、伊東が顔を叩いたやつか。
ガーゼを貼るほど、悪化したのかな。
「ん~…そうね、関係あるね…」
『やっぱりそうか!』
恐らく私の中で思い出したくない出来事になっている。
思い出すだけで苦しくなって吐きそうだ。
「けど…有紗、ごめん。思い出すだけで吐きそう。また、話せるようになったら聞いてくれる?」
『はぁ? ちょっと待って。そんな精神的に来るレベルのこと? 益々許せないんだけど』
「はは、有紗は私の為に怒ってくれるから嬉しいよ。本当にありがとう」
『親友だから当たり前じゃない!! 取り敢えず、後で数学科準備室に乗り込んでくるわ』
「え? いや、行かなくて良いよ。大丈夫!」
『大丈夫じゃないから、真帆。こればかりは譲れない。打倒、早川! 打倒、伊東!!』
「え、待って…」
『じゃあまた連絡するね。無理せずに』
「ちょっと有紗!」
有紗は一方的に電話を切った。
「……はぁ…」
スマホをベッドに投げて倒れ込む。
本当、有紗は嵐のようだ。
昼ご飯食べなきゃ…。
そう思ったが、ご飯を食べることすら億劫に感じる。
「寝ようかな…」
目を閉じると睡魔が訪れてくる。私はそのままひと眠りすることにした。