青春は、数学に染まる。
目覚めると17時を過ぎていた。
リビングからお母さんがご飯の用意をしている音が聞こえる。
「お母さん、お帰り」
「あぁ、真帆。調子はどう?」
「ぼちぼち。明日は学校行くよ」
「分かった。無理しないでね」
「うん」
明日は金曜日。1日行けばまた休みだから、頑張って学校行こう…。
そう思っていたのに。
翌日、朝起きると吐き気に襲われた。
学校に行くことを考えただけで吐き気がして気持ち悪い。
「いってきます」
「気を付けてね」
お母さんに心配させないように普通に家を出たが…気が乗らない。
私、学校に行きたくないんだ。
多分…あの2人に会うことが怖くて行きたくないのだと自覚する。
「うーん…どうしよう」
とりあえず駅に向かったが、ホームには同じ学校の人が沢山居る。
「……」
少し考えた結果、駅を後にしてバス停に向かった。
そして学校とは反対方面のバスに乗り込んだ。
制服で居ると一際目立つ。
平日の朝に、隣の市にある学校の制服を着た高校生は本当に浮く。
どこに行くか悩んだ末、図書館前でバスから降りた。
「図書館に行こう」
ここなら勉強もできるし、本も読み放題。
学校には保護者を偽って休む連絡を入れた。
バレないかドキドキしたが、大丈夫だった。
電話が事務の先生で良かった。
有紗にも休む旨のメッセージを送った。返信はまだない。
「…よし」
スマホの電源を切って鞄に入れる。
私は自習室で数学以外の勉強をすることにした。