青春は、数学に染まる。
丘陵公園は凄く広く、色々なエリアがある。
大型遊具、健康遊具、田舎体験、花畑、グラウンドゴルフなどなど。園内マップを見るだけでも楽しい。
「どこに行きますか」
「…うーん…」
先生とならどこ行っても楽しそう。全部回りたいけど、時間も無いし…。
真剣に考えていると、先生がふっと笑って私のおでこにキスをした。
「今日全部回ろうと考えなくて良いのですよ。回れなかったらまた来れば良いだけです」
「…はい」
私と先生は花畑エリアに向かうことにした。
入口からマップを見ながら歩き続ける。
「この先ですって」
可愛い看板に誘導され小さなトンネルをくぐる。
そのトンネルを抜けると、目の前に広大な花畑が現れた。
「うわ…凄い…!」
「綺麗ですね」
パンジーやビオラ、シクラメンなど色とりどりの花々が綺麗に咲き誇っている。
ハートや星などのオブジェも設置されており、凄く華やかな雰囲気だ。
「裕哉さん、写真撮らせてください」
「え、僕のですか?」
「そうです」
先生のことを名前で呼ぶことにも慣れて来た。
私は先生を可愛い花壇の前に立たせて、スマホで写真を撮る。
「ふふ、可愛い」
「…可愛いって何ですか。悪用しないで下さいよ…」
「しませんよ」
こんなに可愛い先生、独り占め一択でしょう。有紗にも見せないよ。
撮った写真を眺めていると、今度は先生がスマホを取り出した。
「では、僕も撮らせてください」
先生は私をハートのオブジェが置いてある場所に誘導した。
これ…カップルで写真を撮るものでは…。
「え、ここで1人写真に写るの…少し恥ずかしいのですが」
「可愛いから問題ありません」
そう言って写真を撮り始めた。しかも連写をしている。
「恥ずかしい…」
「真帆さんは可愛いから問題ありません」
どういうこと。さっきから先生の言っていることが良く分からない。
「あ、すみません。写真を撮っていただけますか?」
「いいですよ~」
早川先生は自分の後ろを通り掛かった人に、写真撮影を頼んだ。
スマホを託すと、先生も私の横に来て一緒に座った。
「撮りますよ~」
「はい」
撮ってもらった写真を確認して、先生は通行人にお礼を告げた。
私も深くお辞儀をしてお礼をする。
「良い写真です。真帆さんに送ります」
「はい。お願いします」
……そこまで言って気が付いた。
そう言えば、早川先生と連絡先の交換をしていなかった。
「私…連絡先知らない…」
「そう言えば、そうでしたね…」
付き合っているというのに。そんなことある?
私と先生は近くのベンチに座って連絡先交換をした。
電話番号とメールアドレスと、無料通信アプリのトークID。
「連絡先に真帆さんが居ると、ドキドキします」
「ふふ、いつでも連絡ください」
「それは僕のセリフです」
早速、早川先生から写真が送られてきた。
2人とも表情がぎこちなくて面白い。
早川先生と初めてのツーショット写真。そして、可愛い熊のスタンプ。
「スタンプ、使うのですね」
「意外ですか?」
「いえ、可愛いから問題ありません」
「どういう意味ですか…」
「裕哉さんの真似です」
ぷぅっと頬を膨らます早川先生。それ可愛い。
「他の人に見せないで下さいよ。その顔…」
「どんな顔ですか」
「今度鏡を見てください」
「何ですかそれ…」
綺麗な花畑が見渡せるこのベンチ。
景色を眺めながら先生と沢山お話をして過ごした。