青春は、数学に染まる。

学校の近くにあるこぢんまりとしたカフェ。
沢山あるメニューの中から、私たちはタピオカミルクティーとワッフルをテイクアウトした。


「美味しそう!」
「ね! ここのお店、いつか真帆と行きたいって思っていたの。…というか、高校入学して初めてじゃない。真帆とこうやって帰りながら寄り道するの。私、嬉しくて…」
「そうだね。私も嬉しい。…学年末も赤点だったけど、補習しないと言ってくれた早川先生に感謝だよ」
「本当。…ねぇ、真帆。早川先生、本当に良い人で良かったね。私、嬉しいよ」
「うん…」

タピオカ、美味しい。

有紗も辛い思いをしたのに、ニコニコいつも通りに見える。
多分、心の中では今も辛い思いをしているだろうから…それを見逃さないように、有紗を支えなければ。



「ところで、神崎くんのライブ行くの?」
「あー…うん、悩み中。先生も彼氏として行くって、言っていたんだ。ちょっと確認しないと」
「ぶふっ! 先生も行くの? 面白いんだけど!」

ライブについてくるのはちょっと…と、以前伝えたから。
多分、先生自身もう行く気はないはず。



とはいえ、ねぇ…。
今日の夜、連絡してみよう。


「先生行かないって言ったら、一緒に行かない?」
「え、いや…良いんだけど。そもそも先生は行くことを許してくれるの?」
「そんなに器は小さくな…」

いや、小さいな。

「うん、いや。器小さかったわ。先生ヤキモチ妬くから。ダメって言うかも」
「ヤキモチ妬くの?」
「妬くよ。有紗にも妬いていたことあるよ」
「私に!? 嘘でしょ~!?」
「ホントだよ」
「有り得ない〜!!」

有紗は大笑いした。楽しそうな様子に安心感を覚える。


結局私たちは、公園で他愛のない話を繰り返し、日が沈むまで有紗と共に過ごした。




 
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