御曹司は高嶺の花に愛を刻む
その後、書類などを書くために一度署に向かった。
そして、全部終わって、再び家に寄って、陽平が簡単に荷物をまとめてくれ、陽平の家に向かった。
もう、深夜を回ってしまった。
陽平が、私の荷物を持って手を引いて歩く。
陽平の部屋に入るなり、抱きしめられた。
「菜由。大丈夫か?」
陽平の声は優しいが、抱きしめる力は強かった。
心配かけてしまった。
陽平は出張帰りで絶対に疲れてたはずなのに。
今日は水曜日。
まだ、明日から仕事もある。
大迷惑もいいところだ。
陽平からもパパからも、さんざん言われてたのに、大丈夫と言って聞かなかった。
予測できたはずなのに。
想像力が足りてなかったんだ。
結局、カスカスになりながら払っていた医療費も、私が払った分はまとめてママとパパが私に返してくれた。
さっさと引っ越せば良かったんだ。
ヒーローにでもなったつもりだったのだろうか。
自分の不甲斐なさに呆れる。
「菜由。自分を責めるな」
陽平はたった一言で、私を救い出す。
「陽平、、、」
ぐすん。