御曹司は高嶺の花に愛を刻む
考えたくもない。
絶対に無理だ。
菜由無しではもう。
なんとか夜は、菜由を落ち着かせたくてずっと腕の中に閉じ込めた。
"もう大丈夫"と伝わるように。
安心したように眠る菜由を見て、菜由の、笑顔を守りたい。この手で。強く思った。
それと同時に、余計に犯人への怒りや、自分がついていながら、こんな事になり怖い思いをさせてしまった不甲斐なさ。
そして、菜由がもし犯人と接触していて、直接傷つけられたりでもしていたら、、、
菜由がもし、俺の前からいなくなったら、、
と、どうしても考えてしまう。
不安や悲しみから負の感情に飲み込まれそうになって、自分の弱さを感じ、結局俺は寝る事が出来なかった。
余計に菜由を抱きしめる手に力が入る。
離さない。離したくない。
菜由の今回の件が、同棲するタイミングになったが、俺はもともとかたときも離れたくなかった。
菜由は、ただ保護されたとしか思っていないかもしれない。
申し訳なさそうに謝った菜由の顔が浮かぶ。
違う。それだけじゃないんだ。
俺が、もう、菜由無しではいられないんだ。
菜由。