御曹司は高嶺の花に愛を刻む

これが、本当に人を愛するという事なんだと。

菜由に出会って、やっと知ることができた。

俺は、菜由に出会う為に、愛情という感情を眠らせていたのかもしれない。

この愛は、本物だと。
わかる。
今の俺には。
ハッキリと。

打ち込んでいたキーボードのエンターキーをタン!と打つ。
答えが出たように。

「副社長」

「なんだ」

「顔が、、、」

「ああ。
昨日は急にすまなかった」

「いえ。そうなるかと朝のうちに、全てのスケジュールを変更しておりましたので、何も問題ございませんでした」

こいつは本当に。
頭が上がらない。

「設楽。ありがとう」

「いえ。ただ、、」

「なんだ」

「最中に、電話はダメでしょう」
そう言って設楽はニヤっと笑った。

本当にお見通しだな。
ははは!しかも設楽が笑った。

「善処する」

とりあえず、言っておく。

「よろしくお願いします」
設楽は一瞬白目を向いて、返事をした。


クックッ!信じてないな。
本当に、俺をわかってる。
< 143 / 228 >

この作品をシェア

pagetop