御曹司は高嶺の花に愛を刻む
騒ぎ過ぎて、声がオッサンみたいになってしまった。

「なぁ。大丈夫か?声。ヤバいぞ?」
陽平は、涙を浮かべて笑ってる。

「だから。オッサンになっちゃった」
笑うしかない。

「オッサンでもかわいいんだから、すごいよお前」
頭を撫でながらそんな事を言う陽平。

「こんなでも、愛してくれる?」

「ああ。もちろんだ。どんな菜由も愛おしい」
陽平の瞳に、熱い灯火が静かに灯ったのが見えた。

「陽平!!」
陽平が欲しい。
一目もはばからず、飛びついた。

「菜由。愛してる」
そう言って、チュッとキスをして陽平は私を静かに離して、手を繋ぐ。

足りないよ。陽平ー。
ベソをかきそう。

「菜由。そんな顔すんな。我慢しろ。俺もだいぶヤバいんだから」

陽平を見れば、本当に我慢してる顔をしていた。

「うっうん。ここは我慢だ」

「そうだ。我慢だ。菜由」

そして、目を合わせて笑った。

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