御曹司は高嶺の花に愛を刻む
ボーイが、ドリンクを持って回って来てくれて、次々とお酒を煽る。

ここのボーイは、いちいち目を大きくして去っていく。

何?目ヤニでもついてたか?
ちょっと目を触ってみる。

ないじゃん。

それでもだんだんと、酔いは回る。
いい気分だ。


ここは、椅子がなくて、背の高い小さな丸テーブルだけ。

おひとり様の私にはピッタリだな。


すると、後ろから肩をトントンとされた。

何?誰よ。


「これ」


低く落ち着いた声がする方を振り向けば、そこには私のハンカチを持っている男性がいた。

180㎝は余裕である長身に、YUIのスーツだろう。大きなペイズリーの模様が入ったダークパープルのスタイリッシュなスリーピース。

その、着る人を選びそうなスーツをビシッと嫌味なく着こなしている。

広い肩幅は、スーツの上からでも程よく筋肉が隠れているのがわかった。

黒い髪は、サイドが短くトップはオシャレなパーマヘア。セットも完璧。

そして、綺麗で自然に伸びる眉。
二重は平行に流れて、瞳は吸い込まれそうな魅惑的な目をしている。

鼻は、スッと筋が通り高い。
唇は薄く、閉じれば冷たい印象を出す様な、そんな感じがした。

グラスを持つ手は、綺麗な顔からは想像できない様な、大きくて節がゴツゴツとしていてとても男らしい手をしている。

そして、袖からチラチラ見え隠れする腕時計は、超高級ブランドの物だった。
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