御曹司は高嶺の花に愛を刻む
「陽平。今の、見た?」
「ああ。バッチリな」
「だ、だよね」
「お前も初めてか?」
「うん。たまにTシャツの襟からチラッとは見えてたから、何かあるなとは思ってたけど。」
「やっぱり、ファンキーだったな。
でも、彰さんっぽいアートだったよな。
芸術って感じで。」
「うん。すんごいオシャレだったね。あれ、隠すつもりだったのかな?急いで逃げてったけど。別にいいのにね?」
「そうだとしたら見なかった事にしとくか?」
陽平は、笑いが堪えられなくなっている。
「あんなにバレバレで?完全にインプットされたけどね」
そうして、パパとママがどんな感じで来るのか待っていれば、案の定
"何もありませんでしたよ"
みたいな、何食わぬ顔で戻ってきて、私も陽平も目を合わせて笑ってしまいそうになった。
パパとママには電話でだけの挨拶だったけど、同棲もしていたし、大賛成してくれていて、大喜びだった。
むしろ、陽平には感謝していると、お礼も言ってくれた。
パパも、"どこの馬の骨だかも"のくだりは封印していた。
ちょっとだけ、楽しみにしてたんだけどな。