御曹司は高嶺の花に愛を刻む
先に座るなり、私たちを無視して、両親が各々一斉に話し出す。
それ、会話成り立ってんの?
誰かー。司会者してくれー。
もういいか。
諦めて陽平を見れば、陽平も同じ事を思っていたらしく、開き直って笑っていた。
さすがに、食事をスタッフが持ってきた時は大人しくなる。
え?なんの時間なの?
今更、ポーカーフェイス?
遅くない?
シーンと静まり返ったギューギューのエレベーターの中で、笑っちゃいけないのに笑いそうになる、あの不思議な現象が、ここでも起ころうとしている。
陽平を見ればさっきまで笑っていたのに、嘘みたいにクールな顔をして目を閉じている。
隣の純平さんまでも。
なんで!?
兄弟揃って何やってんの?