御曹司は高嶺の花に愛を刻む
そして、2月14日のバレンタインの日に、めでたく私は"神楽 菜由"になった。
陽平は結婚指輪も実はプロポーズの時に準備してくれていたようで、なんとセットになっていて重ねて付けれるデザインの指輪だった。
役所の前で、指輪をお互い交換して付ける。
ムードは無いけど、気分は最高にいい。
それにしても、陽平のゴツゴツの指に指輪をはめるのは、なかなか至難の業だった。
お互いの指にお揃いのプラチナに輝く指輪がついて、結婚したという実感が一気に湧いてくる。
「神楽婦人だな?」
陽平は、車の中で手を繋ぎながらニカッと笑って私を見る。
「神楽菜由だって。私、神楽菜由だって!!」
今頃、興奮してくる私。
「ああ。正真正銘の俺の妻だ。よろしくな?奥さん」
そう言って、タイミングよく信号待ちになると、陽平は顔を近づけて、チュッと頬にキスをくれた。