御曹司は高嶺の花に愛を刻む
俺の結婚相手が、菜由だと知れ渡り、それはそれは一時は大変な騒ぎになった。
それでも、相手があの高嶺の花だという事で、割と納得する者も多かった。
菜由は騒がれても、覚悟の上だったのか、あまり気にする様子もなく毅然とした態度で振る舞っているようだった。
菜由の普段の真面目な業務態度や人柄のお陰でもあったと思う。
そして、スカウトを受けるくらいの実力の持主だ。
菜由の設計図を見せてもらった事があるが、まだまだ若いのに、それは見事な図面だった。
誰も思いつかないような斬新なデザインに、設計図を見ただけで、鼓動が高鳴るのを感じた。
まさに職人だ。
スカウトした菜由の上司も、菜由を工務店で見つけて、この才能がここに埋もれているのは勿体無いと、人事に自ら掛け合ってうちに引っ張ってきたらしいからな。
このまま、ここで働いて欲しい。
子供が出来ても、俺がなんとかする。
結婚したからと言って、自分の好きを我慢させたくない。
そう思ってる。