御曹司は高嶺の花に愛を刻む
ここの受付は3人。
そのうちの1人は、昔俺に告白してきた奴だ。
事もあろうか、こいつは俺にこっ酷く振られた後も、ずっといやらしい目で見てくる。
今も。
妻の菜由がいるというのに。
俺を舐め回すように。
気持ち悪い。
俺は、居ても立っても居られなくなり、思わず菜由の腰を引き寄せた。
菜由の体温を感じる。
落ち着く。
菜由は、一瞬驚いた顔をしたが、俺がニコっと微笑むと、見上げて微笑み返してくれた。
すると、受付の女が鬼の形相のように菜由を睨んだ。
ふざけんなよ。
菜由も、自分に向けられた敵意を目の当たりにして、さすがに驚いて肩をビクッとさせる。
設楽もちょうど要件が済んだようで、俺はその場からすぐに菜由を連れ出した。