御曹司は高嶺の花に愛を刻む


クソッ。
許せねぇ。
俺だけならまだしも、菜由にまで。

しかも、あそこは会社の顔でもある受付だ。
あんな、感情を剥き出しにするような、しかも人の妻に敵意を向けるような倫理観に掛けている奴がいれる場所じゃない。

「設楽」

「かしこまりました」

菜由は頭に"?"を浮かべて心配そうに俺を見上げる。

「大丈夫だ」
俺は、優しく微笑む。

菜由も、俺を見て安心したのか、コクっと頷いて微笑み返してくれた。
そうだ。菜由は何も心配せず笑ってろ。

そして菜由は、自分のフロアにつくなり、降りて行った。

副社長室に入るや否や、設楽はさっそく電話をとり要件を伝える。

仕事が早い。本当に。


あっという間に午後になる。

するとデスクの電話が鳴る。

「はい。副社」

「俺だ。今から俺んとこに来い」

「はい」

俺は立ち上がり設楽を見ると、

「いってらっしゃいませ」

見ただけで伝わった。

凄いな本当に。

謎解きしてるみたいで楽しいわ。
ここまで来ると。
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