御曹司は高嶺の花に愛を刻む
衝撃的すぎて、しばらく時が止まった。
あれは仕事中では今年1番のビッグニュースだ。

スタッフに声をかけられて、やっと我に返ったもんな。

そして、設楽もいつの間にか席を離れて、本当に何か買っていた。

設楽の手を見れば、ちゃんと薬指に指輪が付いていた。

全然気付かなかったわ。

あの顔で?
愛を囁いたりすんの?

面白すぎて笑える。
あいつ、家でも
「かしこまりました」
とか言ってそうだよな。

いつ思い出してもおもしれー。

腕時計は流石についてこなかった。

どれどれ。
今日は早く帰ろう。

「設楽」

「かしこまりました」

何がだ?わかってんのか?

「今日は、定時であがれます」
メガネをクイっとあげた。

わかってるわ。
わかってんのよ。本当に。
凄いのよ。俺の秘書は。
設楽さんは。

立場上、呼び捨てだが、もう俺の中の設楽は尊敬に値する人物だ。
設楽さんだ。
お前は、設楽さんだ。

「ああ」
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