御曹司は高嶺の花に愛を刻む

〜陽平side〜

俺は、神楽 陽平(かぐらようへい)29歳。

代々続く大手ゼネコン神楽コーポレーションの副社長をしている。

今年、副社長だった兄の神楽 純平(かぐらじゅんぺい)が社長に就任して、俺は専務から副社長になった。
そして社長だった親父は、会長の席に座っている。


デスクの電話がなる。

「はい」

「俺の部屋に来い」

「はい」

兄貴だ。
ったくなんだよ。

17時か。
今から、新しい案件か?

コンコンコン

「入れ」

「失礼します」

社長室に入る。

あれ?兄貴だけ?

「涼太君は?」

「さっき帰った。用事があるんだと」

涼太くんこと、冨樫涼太(とがしりょうた)は兄貴の2つ上の33歳。兄貴の秘書で、俺たちの従兄弟だ。
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