御曹司は高嶺の花に愛を刻む

俺も座るか。
座席番号を見れば、中央のど真ん中だった。

よりによって。目立つな。

でも、そうか。
結ちゃんは、麗ちゃん大好きだからな。

麗ちゃんの為に服が作りたくてデザイナーになったんだから、麗ちゃんを真ん中に呼ぶのは当たり前か。

俺で申し訳ないね、結ちゃん。

そう思いながら、周りから痛い程の視線を浴びながら着席して、腕と足を組んだ。

ひとりはさすがに居心地悪いな。

そして、俺も誰か知り合いでもいないかと最前列を見回す。

俺と目が合い、男が隣にいても色めき立つ女や、あからさまにキャーキャー騒ぐ女。

お前ら、何しに来たんだよ。

俺は、無表情のまま視線を動かす。


すると、ひとり全く俺に見向きもしない女性が座っているのが目に止まった。
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