御曹司は高嶺の花に愛を刻む
すると、今度は私の前のデスクの倉田佳菜子(くらたかなこ)が、話し出す。
「しつこいと嫌われますよー」
佳菜子ちゃんは、私の2個下で、私のアシスタントとして頑張ってくれてる。
私は転職組だから、前職の業績に合わせて役職がついた。
私が岩崎君とランチをする時は、佳菜子ちゃんも一緒だ。
佳菜子ちゃんは、胸まである明るめのブラウンにふわふわのパーマをかけて、前髪は眉毛の上で真っ直ぐに切り揃えていて、かわいい。
目も大きくて少し垂れていて、キュルキュルだ。
心の中で、佳菜子ちゃんナイス!!
と褒める。
佳菜子ちゃんは、私がイケメンが苦手なのを知っているので、こうして助け舟を出してくれる。
入社したばかりの時、やたらと男の人達が私の周りをウロつくもんだから、危うく発狂しそうになった所を佳菜子ちゃんが助けてくれた。
「私も、前大変だったんですよ。男って、本当なんなんでしょうね」
「本当に。ほっといてほしいよね」
それをきっかけに、佳菜子ちゃんとは距離がグッと縮まった。
めっちゃいい子。
「んじゃ、昼は?今日は弁当?」
あ、そうだった。今日はないんだった。
「今日ないわ。そう言えば」
「んじゃ、いつもんとこの蕎麦食いいこーぜ!倉田は?」
「私も行きまーす!」
「オッケ」
岩崎君は、やっと黙って仕事をし始めた。
そんな岩崎君をみて、私と佳菜子ちゃんは目を合わせてアイコンタクトするように笑った。