御曹司は高嶺の花に愛を刻む
お昼になり、デスクから立ち上がると、佳菜子ちゃんがまだ電話をしているようだった。

ジェスチャーで、"先に行ってて"と合図されて、私と岩崎君は先に行く事にした。

早く行かないと、座れなくなるから、いつも誰かが早く終わったら先に行く。こんな感じだ。

エントランスを出れば、強い風が吹いていた。

「痛っ!!」

目に砂埃が入った。
涙が出る。

「大丈夫か?風ヤバいな!どれ見せてみ?」

岩崎君が私の目線に合わせて屈む。

「あー、これか?ちょっと上向け」

そう言って、クイッと顎を持ち上げる。

え、ちょっと、、、触んないで下さい。
とは言えない。
緊急事態だ。

そして、小指でちょいちょいと下まつ毛の所のゴミを取ってくれた。

涙を拭く。

「だ、大丈夫だ!取れた!ありがとう」

「ったくよ。目デカすぎんのも大変だな」

「何言ってんのよ。虫も入るわよ」

そう言って笑った。

そして、また歩き出せば、後ろから声をかけられた。
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