御曹司は高嶺の花に愛を刻む
「そういう事な?好きなのか?」

「大好き!」

そう言ってキラキラした目を俺に向けた。
サングラスの奥からもわかる。

自分に言われた訳じゃないのに。

ザワザワする。
まただ。

「楽しもうな」

手繋ぎたい。
片手でハンドルを持つ反対の空いた手は、空気を握った。

「うん!!てかさ、陽平!!」

「どした?」

「あの日さ、連絡先知らないのに
"またな"とかってさー!!」

ぶーと口がとんがった。

「いや、あん時本当に悪かった。
もう、知ってるもんだと錯覚してたわ」

正直に謝る。

「そうだったの!?私も!タクシーでさ、叫びそうなったよね。
私たち連絡先交換すんの忘れてるよ!!って!」

「バカだよな。普通に俺も、朝の用事終わってすぐに、どれ菜由に連絡すっかと思って携帯だしてさ。
んでアドレス開いて、連絡先聞いてないの、そこで気づいたからな」
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