運命とか勘弁してほしい！
「草太くん、琴葉にお礼言われてずるい！」

「お前は琴葉の迷惑になることばかりしているからだろう！」

栞くんが草太くんに文句を言い、草太くんがそれに反論する。二人はしばらく言い合った後、ミステリー研究部なのだからと推理勝負を始めてしまった。これもすっかり見慣れた光景。

「またあの二人は推理勝負？」

そうあたしに声をかけてきたのは、高身長男子の宇鷹彰（うたかあきら）くん。手にはタブレットを持っている。

「そうだよ。あの二人、飽きないね〜」

そう言うあたしの前にタブレットが差し出される。顔を上げれば、恥ずかしそうに目を動かす彰くんの姿があった。

「よ、よかったら新作読んでほしい……！」

彰くんは自分でミステリー小説を執筆している。いつかミステリー作家になることが夢らしい。正直、学生が書いたとは思えないほどの出来なんだけどね。

「いいよ！楽しみにしてたんだ！」

あたしがそう言うと、彰くんは嬉しそうな顔をしてあたしの隣に座る。彰くんのは視線を感じながら、あたしはタブレットに書かれた小説を読み始めた。
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