運命とか勘弁してほしい!
「な、何?どうしたの?」

嫌な予感を覚えつつ、あたしは訊ねる。草太くんが不意に手を掴んできた。驚いて振り解こうとしても、彼の握る力は強く振り解けない。

「今日はお前のクラスに転校生が来るらしい」

「へ、へぇ〜、そうなんだ。女の子?」

「いや、性別までは知らん。だが男だった場合のことを考えて忠告しておこうと思ってな」

「忠告?」

「俺たちの知らない男を見るようなことがあれば、あのことを話す」

そう話す草太くんに、あたしは恐怖のあまり無言で頷くしかなかった。彼の言葉にはあたしに対する怒りは感じられなかった。ただ、砂糖を煮詰めたように甘ったるくて、キャラメルみたいに絡み付いてくるような執着だけは感じ取れる。

(ていうか、あたしはミステリー研究部の誰とも付き合ってないんですけど?)

その疑問は胸の中に押し留め、あたしは食べるのを再開した。

朝ご飯を済ませた後、歯磨きをして教室へと向かう。もうすでにクラスの人たちはほとんど教室にいた。そして転校生が来ることをヒソヒソと話している。
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