運命とか勘弁してほしい!
あたしは選挙管理委員会に所属している。その委員会に何かあったみたいだ。先生と二十分ほど話した後、あたしは小走りで部室へと向かった。

「ごめん!遅くなった」

そう言いドアを開ける。でも、いつも飛び付いてくる栞くんがやって来ない。何故だろうと顔を上げると、そこにはミステリーで言うところの招かれざる客人の姿があったからだ。

「栞くん、頭いいんだね〜。こんな難しい問題解けちゃうなんて〜。香奈頭悪いからわかんな〜い」

甲高く、甘ったるい声が聞こえてくる。部室の中に置かれたソファに栞くんと香奈、そして彰くんが座っていた。香奈は二人の腕に自身の腕を絡ませており、二人は動くことができない。

はしゃぐ香奈の横で、栞くんは苛立ったような顔をしていて、彰くんは怯えたような顔をしている。どういう状況かわからず固まってしまうあたしの隣に、呆れた様子の草太くんが立った。

「大丈夫か?」

「あの、これはどういう状況?」

「見ての通り、あのオメガの女子生徒が「入部したい」とやって来たんだ。でもあれはミステリーが好きなわけではなさそうだな」

「あ〜、そうだね」
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