運命とか勘弁してほしい!
あの二人に間違いなく香奈は媚びている。完全に男目当てだ。まあこの三人の顔は華やかだけど……。

「草太く〜ん、そんなところに立ってないでここでお喋りしようよ〜」

香奈はあたしの存在などいないかのように草太を呼ぶ。それに少し苛立ちを覚えた。無理やり入部させられたとはいえ、香奈よりもあたしの方がこの三人と過ごした時間は長い。それがなかったことのようにされたみたいだった。

(何であたし、こんなに怒ってるんだろう?)

香奈がこの部活に入るのなら、あたしは自由になれるかもしれないのに。それが嫌だと叫んでいる自分がいる。

草太くんを見上げる。草太くんは無表情のままセットされた髪を触っていた。やがて深い息を吐き、あたしの手を取る。

「悪いが、俺は君と話している時間はない。これから琴葉と今日公開されたミステリー映画を観に行く予定があるからな」

「えっ!?」

あたしは思わず声を出してしまった。そんな約束はもちろんしていない。ソファにいる栞くんと彰くんが目を見開いている。
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