運命とか勘弁してほしい!
死んでしまうかと思うほどの体の痛みが消え(実際には死んだ)、あたしはゆっくりと目を開ける。そこに広がっていたのは真っ白な世界だった。雪国のような銀世界ではなく、地面も空……というか天井?も真っ白な空間がどこまでも広がっている。
「ここがあの世?天国?」
見知らぬ女に理不尽なことで殺されたことを思い出したあたしが怒りを覚えながら呟くと、「いや、ここは本来人の来る場所じゃないのじゃ」としわがれた声が聞こえてきた。
「えっ?誰?」
どこからか聞こえてきた声に、あたしは辺りを見回しながら尋ねる。すると眩しい光が目の前に現れた。その光は人の形になっていく。
光が消えた時、そこにいたのは真っ白な服を着たおじいさんだった。長い白い髪を生やして、同じく長い白鬚を伸ばしている。見た目はまるで、某ファンタジー小説に登場する校長先生だ。
「あなたは誰ですか?」
少し緊張しながら訊ねると、おじいさんは「私は神と人に呼ばれている者じゃ」と返す。神様……。宗教なんてしたことないし、都合のいい時にしか神様を信じていなかったけど、この不思議な空間が目の前にあることが真実なのだと告げている気がする。