運命とか勘弁してほしい!
「アルファだった」

「アルファだったよ〜」

何でみんなアルファなんだよ!?ここにも疑問を感じる。アルファは貴重な存在で、人口のほとんどはベータが占めているはずなんだけど……。

「美澄琴葉さ〜ん」

名前を呼ばれ、あたしは「はい!」と一年生らしく元気に返事をして保健室の中へと入った。保健室の中には養護の先生二人と吉岡先生、それからスーツを着た見知らぬ男性と女性がいた。この二人がバース性を調べる人なのだろう。

「はい。お口を開けて〜」

女性に言われあたしが口を開けると、綿棒を中に入れられ、口の中をグリグリ軽く擦られる。海外の刑事ドラマでやっていたDNA検査のようだ。綿棒は見たことのない謎の機械の中に入れられ、数秒後、結果が出てくる。

「おや、珍しい。君はベータだね」

「本当ですか!?」

結果を真っ先に確認した男性があたしのバース性を言うと、首を傾げるあたしを置いて保健室にいた全員が驚く。えっ?ベータでしょ?普通の一般人じゃないの?
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