私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
「玲乃は風邪の時はいつもより少しだけ素直に甘えてくれるね」

「そうですか……?あ、それより、薬飲まないと……うう、嫌だな……」

「ゆっくりで大丈夫。玲乃のペースでいいよ。飲み終わったら、褒めてあげる」

「子供扱いしないで下さい……!でも、本当にどうしよう……」

「あはは、もう一度口移しをしてあげようか?」

「こんな時まで、からかわないで下さい!」


「うーん、じゃあ頑張って五日間飲み切ったら、玲乃の欲しいものをあげるよ」


欲しいもの……?

薬を飲んだ後のご褒美は、ずっと前から決まってる。



「お花が欲しいです。一本だけでいいから」



「っ!」

「亮弥さん?」

「……なんでもないよ。分かった。用意しておく」

「本当ですか……?嬉しいな……」


なんとか薬を口に運び、薬を飲み込む。

元気な時より薬を飲むのに時間がかからないのは、頭が働いていないのもあるだろう。
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